東京文化会館と横浜みなとみらいホールで「リラックス・パフォーマンス」のサインミュージック/ろうナビゲーターを担当しました。

リラックス・パフォーマンスの「リラックス relaxed」は“寛容な”という意味で
このコンサートはいつものクラシック音楽コンサートとは少し違って、少し音をたてても、身体が動いても、大丈夫です。

2020年から東京文化会館で開催されていたリラックス・パフォーマンスですが、今年(2024年)は東京文化会館、横浜みなとみらいホールの2箇所で2日間(11/16、11/17)に分けて開催されました。
ピアニストの今田篤さんと西村翔太郎さんの2台ピアノをはじめとしたアンサンブルで、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」や、チャイコフスキー作曲のバレエ組曲「くるみ割り人形」、ストラヴィンスキー作曲「ペトルーシュカ」などから名曲が演奏されました。
その他の演者にはヴァイオリンが篠原悠那さん、フルートが多久和怜子さん、ソプラノが清水理恵さん
ナビゲーターは東京文化会館ワークショップ・リーダーの塚本江里子さん
そして、ろうナビゲーターとサインミュージックでミナテマリのYumiko Mary KAWAI、Sasa-Marieが出演しました。

コンサートのテーマは「人形の夢とめざめ」です。
演者が人形となって進行する面白い演出でした。
ねじ巻き人形として登場したソプラノは歌の途中でねじが切れてしまうので、観客が一緒になって手を動かし、ねじを巻くなど、通常のコンサートと異なった楽しみもありました。

このページをご覧になっている皆様にとって、一番の見どころはストラヴィンスキーのペトルーシュカ。
今回のリラックス・パフォーマンスで初の試みとなったミナテマリによる「音楽」を身体を使って再構築した「サインミュージック」を披露しました(2台のピアノによる音楽とサインミュージックが平行して進行しました)。
魔術師をYumiko Mary KAWAI、ペトルーシュカをSasa-Marieが演じました。
魔術師に命を吹き込まれ、わら人形なのに人間に憧れているペトルーシュカ。
恋をして、キラキラする一方、
女性を巡ってライバルと争い、ペトルーシュカは殺されてしまいます。
ついには死靈になって、嫉妬や怒りなどの感情を剥き出しにします。
悲しい物語の中に愛おしさのようなものも感じる、そんな音楽でした。

耳の聞こえない、聞こえづらい人にとって、分からなかった、理解できなかった「音楽」が「サインミュージック」によりハッキリと浮かび上がってきました。
それだけでなく、耳の聞こえる人にとっても、より「音楽」を理解する手助けになったのではないでしょうか(手話が分からなくても)。
その証拠に大人と一緒に鑑賞していた子どもたちも真剣に見入っている様子が見受けられました。

この日のプログラムはサインミュージックを演奏することが前提に組まれているかのように内容が合っていました(それって素敵なことですね)。

聴覚障害者への鑑賞サポートは、ヒアリングループ、字幕タブレット、ろうナビゲーターによる手話通訳がありました。
視覚障害の方には手持ち型のレーザ網膜投影視覚支援機器や点字版の曲目リストがあり、ナビゲーターによる音声での状況解説も良かったです。

毎年、少しずつバワーアップしていくリラックス・パフォーマンス。

今回、ご参加いただけなかった皆様も次回はぜひお楽しみに!

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